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強風、乾燥下の悪戦苦闘…糸魚川大火の見えない部分…(2)

市街地大火をなくすためには

糸魚川市は、北陸本線で富山県側から新潟県に入った最初の海側にある街だ。駅前から海に向かって開けた古い歴史をもつ土地で、地質学上はここから始まったフォッサ・マグナ(大地溝)が静岡まで走っていることで知られている。

古い歴史をもつ街だけに、市は昔ながらの家並をもつ道や、和風建築の屋敷町などを観光資源として売ろうとしていたようだ。だから、駅前から海岸に至るメイン道路周辺とは別に、造り酒屋など木造大建築物が蝟集する一角も観光用エリアとして整備を進めてきた。建物形態としてそれぞれ性格が違うものの共存を図ろうとしているから、防災安全対策の画一性を保とうとすれば、難しい面があるかもしれない。

街の安全維持を担当する消防機関とすれば、こうした二面性は防御に難しさがある。繁華な商業地域は出火危険が高く、屋敷町などは逆に、万一出火した場合の拡大危険が極めて高いものになる。もしこういう形態の街づくりを進めようとするなら、町並み保存や、寺社・歴史的遺構などが多い先進都市のハード面整備を見習わなければならない。それほど強力でもない消防力に全面的に依存するのは本末転倒だろう。

そしてその消防力でる。先述したとおり、各市町村の消防力(人員、機械、施設)は国が定めた基準によってその最低数が確保される仕組みになっている。基本的に、国はそれらの最低数が確保されていれば良しとする。誰でも分かるように、地方自治体にとって最も高くつくのは人件費であるから、どこの市町村も非常時用人材である消防職員の定数は基準ぎりぎりの最低数に過ぎない。

こうした実情が、地方都市へ行けば行くほど顕著に出る。消防車や救急車は何台もガレージで待機しているのに、消防署員は数えるほどしか詰めていない。要するに、何台かの車は、隊員が災害出場の種別に応じて乗り換え運用しているのだ。大都市のように、車種それぞれに決まった専従乗務員がいるのではなく、現場の種類によって隊員は車種を乗り換える。それで人員不足を補う作戦をとる。

こうした乗り換え運用を含めて、地方都市の多くは第一出場で現場へ出る車両数、隊員数は大都市に比べて大幅に少ない。最初から守勢に立たされる例もあって、こうなれば、いわゆる「初動時の劣勢」は明らかだ。とくに、地方都市であり、なおかつ密集度の高い地域に対するそれは、どうすれば克服できるのか。

が、これがなかなかの難問題。国土交通省が5年前から取り組みを始めた「地震時等に著しく危険な密集市街地」の設定によって、全国17都道府県下で5,700ヘクタールを選び出してはいる。ではそれをどうすれば地震時等大火の限定阻止につながるか、といえばまだ具体策は見えていない。

今回火災でショックを受けた総務省消防庁は、急ぎ学識経験者・実務専門家などを招聘して、強風下など悪気象条件下の「密集市街地の消防対策」検討を始めた。酒田大火以来40年を経過して、なお類似火災が出たことに大きなショックを受けている模様だ。強化充実が著しい、といわれる地方都市大火対策も、ことここに至ると、また新たな高齢過疎化などの問題も含めて、決して一筋縄ではいかないことがよく分かる。地方都市大火が、いくらかの対策充実によって、あるときピタッと再発生しなくなるとは考えにくい。

糸魚川大火も、過去いくつかの実例があって、なお今回火災を再発させた。火災予防に万全はあり得ないし、人為ミスによる限り、必ず再発するのもまた、火災なのである。それにいかに抵抗し得るか、これが今後の地方都市消防に与えられた課題だ。

ただし、何も悲観的になる理由はない。のちに記者会見で糸魚川市消防署長は「結果として大火になったが、それは物理的な劣勢も含めて、消防隊員の責任ではない。現有勢力で必死に戦った隊員たちを、私は指揮者としてこころから誇りに思う」と、涙ながらに述懐している。現段階では、地方都市大火を、抜本的に防止できる対策などあろうはずがない。しばらくは現有戦力で戦うしかない地方都市消防にとって、そこに懸けるのもまた一手段ではあるまいか。いや、それしかない。

そう、それが今回火災のいちばん深いところを衝いた、真実の声である。

新坂 理一郎(フリーライター)「ヤマトプロテック(株) Yまがじん NO.196より抜粋」

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