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なぜ6人もが死んだか?・・・悪質老朽アパートの悲劇・・・(2)

「民泊」問題へ結びつく?

この建物は、ここ10年ほどの間に個人経営者が維持管理に手を焼いて、結局住宅管理専門会社に売却している。それまでは日額賃料が一律500円という安さもあって、数年間は滞在する定住者もいたらしい。だが、新たな管理会社はむしろ長期滞在者を避ける意味からか日額900円に一律アップ。高齢の低所得者にとってこの差額は大きく、管理会社の狙いどおり、ショートステイの客が主流となっていった。

名前も顔もよく知らない人間たちが一過性で住みつき去っていく。まさに古屋とはいえ、共同住宅から簡易宿泊所へと移行する・・・人間的なつながりを喪失していく、都市の荒廃をみる思いもする。それはともかく、消防法の規制からいうと、アパートなど共同住宅と簡易宿泊所は建物分類が異なるのだ。共同住宅は定住者がいることで、居住者同士のコミュニケーションが図りやすい。安全維持がそこに住む人によって日常、確かめられているのだ。

一方、簡易宿泊施設は見てくれ、内容の如何を問わず、滞在者はすべて一過性の通過客。客相互の対話など成り立たないし、その居住安全などに関しても、建物管理者の責任下において処理される。消防法や食品衛生法といった法規制が強くかかって当たり前なのだ。ところが今回火災では、名目上は共同住宅、実態は簡易宿泊所の、しかも極めて悪質な形状下で出火し、最悪といってよい大惨事を招いた。

かつての経営者と現在の管理会社に対して、激しい指弾と非難の声が浴びせられているが、むしろ当然と言ってよいだろう。今なお、この火災に関する調査と、多数の死者が出た原因について、関係機関で詳細な追跡調査が行われている。どのような結果が出ようと、失われた6人もの生命が再び還ってくる可能性はゼロだ。われわれ国民全体の問題として改めて注目し続けたい。

そして、これに類する最近の重大問題として、闇の「民間宿泊所=民泊」の跋扈を無視するわけにはいかない。国が、外国人観光客誘致を国策としてうち出して以来、❝認可制❞という曖昧な枠組みを背景にして、無認可、ヤミの「民泊」が東京、大阪、京都などと、その周辺部で大挙出現しつつある。防災だの食品衛生、環境維持、騒音問題などほとんど無視した民間簡易宿泊所が、毎日のように増え続けている。

消防署、保健所などが知らないエリアで、安全二の次の空間が増殖してやまない。もう「知らなかった!」で済まされる段階ではないのだが。

新坂 理一郎(フリーライター)「ヤマトプロテック(株) Yまがじん No.197より抜粋」

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